Amazon Prime Videoで香港映画『インファナル・アフェア』(原題:無間道)を観ました。
本作は2002年公開の香港映画で、監督はアンドリュー・ラウとアラン・マックです。主演はアンディ・ラウとトニー・レオン。香港を代表する2大スターが共演しています。
『インファナル・アフェア』は3部作の第1作目で、警察と香港マフィアの双方に潜入捜査官がいるという、ダブル潜入捜査を描いた作品です。ハリウッド映画『ディパーテッド』の原作としても知られています。
実はこの映画、10年以上前、香港へ留学する前に一度観ています。そのときに受けた衝撃は、今でも忘れられません。
今回、久しぶりに観たくなり、改めて鑑賞しました。
結末を知っているにもかかわらず、やはり何とも言えない気持ちになります。
個人的な評価は92点(100点満点)です。
初めて観たときとは違う視点で楽しめる、何度も見返したくなる映画でした。
※以下、物語の結末を含むネタバレがあります。
『インファナル・アフェア』のあらすじ【ネタバレあり】
物語の中心となるのは、警察と香港マフィア、それぞれの組織に潜入した2人の男です。
アンディ・ラウ演じるラウは、香港マフィアのボスによって警察学校に送り込まれたスパイです。一方、トニー・レオン演じるヤンは、警察から香港マフィアへの潜入捜査を命じられた警察官です。
2人はそれぞれの組織で長年活動し、重要な立場を築いていきます。
しかし、ある麻薬取引をきっかけに、警察とマフィアの双方が内部にスパイがいることに気づきます。
ここから、お互いの正体を突き止めようとする緊迫した駆け引きが始まります。
警察とマフィア、双方がスパイを探す
警察内部に潜入しているラウは、優秀な警察官として順調にキャリアを重ねています。
しかも、警察内部のスパイを探す役割を担うことになります。
一方、マフィアに潜入しているヤンは、正体が明らかになれば命を失いかねない状況です。
ヤンにとって、警察内部にいるラウがスパイ捜索を担当するというのは、極めて不利な展開でした。
互いに相手の正体を探りながら、自分の正体だけは隠さなければなりません。
この緊張感が、映画の最初から最後まで続きます。
潜入捜査官ヤンを襲う悲劇
ヤンは警察官でありながら、長年にわたって香港マフィアの一員として生活しています。
自分が警察の潜入捜査官であることを知っている人物は、ごく限られています。
ところが、その事実を知る重要な人物たちが次々と亡くなり、ヤンは警察官としての身分を証明することが難しくなっていきます。
さらに、警察内部にいるラウによって、ヤンの警察官としてのデータまで消去されてしまいます。
正義のために潜入捜査を続けてきたにもかかわらず、元の生活に戻る道が失われていくのです。
このヤンの悲劇が、映画の最大の見どころの一つだと思います。
結末を知っていても、何度観ても何とも言えない気持ちになります。
本物の警察官になりたいラウの葛藤
一方、ラウもまた大きな葛藤を抱えています。
もともとは香港マフィアから警察内部に送り込まれたスパイですが、警察官として順調なキャリアを築くうちに、本当の警察官として生きていきたいと考えるようになります。
自分の過去を捨て、正義の側に立ちたいという思いが生まれていたのです。
そのため、ラウはマフィアのボスを裏切り、警察官として生きていこうとします。
しかし、マフィアのボスが亡くなった後、ラウがスパイであることをヤンに見破られてしまいます。
ヤンはラウを警察に突き出そうとしますが、駆けつけた警察官によって殺されてしまいます。
しかも、その警察官もまた、香港マフィアから送り込まれたスパイでした。
ラウはその警察官を射殺し、表向きは警察官として生き残ります。
しかし、自分の過去から完全に逃れられたわけではありません。
本物の警察官になりたいという願いを抱きながら、偽りの身分で生き続けなければならないのです。
「無間道」というタイトルが意味するもの
原題の『無間道』は、仏教の「無間地獄」に由来しています。
無間地獄とは、絶え間なく苦しみが続く地獄を意味します。
ヤンは警察官でありながらマフィアとして生き続け、ようやく元の生活に戻れるかもしれないというところで命を落とします。
一方のラウは生き残るものの、自分の過去を隠しながら警察官として生き続けることになります。
どちらも本当の意味では救われない結末です。
まさに「無間道」というタイトルにふさわしい物語だと感じました。
ただし、ヤンには一つだけ救いがあります。
ヤンが潜入捜査官であることを打ち明けていた心療内科医のリーの存在です。
彼女の証言などによってヤンが警察官だったことが認められ、警察官として葬儀が行われます。
ヤンが警察官としての名誉を取り戻せたことが、せめてもの救いでした。
『インファナル・アフェア』を観た感想
ダブル潜入捜査という設定が秀逸
まず、ストーリーと設定が本当に秀逸です。
警察からマフィアに潜入したヤンと、マフィアから警察に潜入したラウ。
どちらも相手の組織の中で重要な立場にあり、互いの正体を探り合います。
ラウの視点では、自分の正体が明らかになれば、それまで築き上げてきた地位や生活のすべてが崩れてしまう恐怖が描かれています。
一方、ヤンの視点では、長期間にわたる潜入捜査によって、自分が正義なのか悪なのかさえわからなくなっていく葛藤が描かれています。
しかも、ヤンにとって唯一のよりどころである警察内部の上司まで殺されてしまいます。
どちらの視点に立っても、手に汗握る展開が続きます。
正義になりたくてもなれないラウの悲劇
今回、改めて観て印象に残ったのが、ラウの葛藤です。
ラウはマフィアから送り込まれたスパイですが、警察官として働くうちに、本当の正義になりたいと考えるようになります。
マフィアのボスを裏切ることで過去と決別し、警察官として生きていこうとしますが、そう簡単にはいきません。
過去の行動をなかったことにはできず、自分が何者なのかという問題から逃れることもできません。
ヤンは命を落とし、ラウは生き残ります。
しかし、生き残ったラウもまた、終わることのない苦しみを抱えることになります。
この結末こそが「無間道」なのだと思いました。
10年以上ぶりに観ると印象が変わった
この映画を初めて観たのは、香港へ留学する前でした。
当時はラウの視点で観ていたため、彼の正体がいつ明らかになるのか、ハラハラしながらストーリーを追っていた記憶があります。
今回、10年以上ぶりに見返してみると、結末を知っていることもあり、2人の立場を比較しながら、よりフラットな視点で鑑賞できました。
特に、ヤンが置かれた絶望的な状況や、ラウが抱える葛藤について、以前よりも深く考えながら観ることができました。
どちらの人物に感情移入するかによって、映画から受ける印象が大きく変わります。
一度観て結末を知っていても、見返すことで新たな発見がある映画です。
まとめ|『インファナル・アフェア』の評価は92点
映画『インファナル・アフェア』の個人的な評価は92点(100点満点)です。
初めて観たときの衝撃は今でも忘れられませんが、10年以上ぶりに見返しても、そのおもしろさは全く色あせていませんでした。
警察とマフィアの双方にスパイがいるという秀逸な設定に加え、ヤンとラウが抱える葛藤、そして誰も本当の意味では救われない結末が強く印象に残ります。
初めて観たときはラウの視点でハラハラしていましたが、今回は2人の立場を比較しながら鑑賞できました。
何度も見返すことで、新しい発見がある作品だと思います。
『インファナル・アフェア』は3部作となっており、続編ではラウとヤンがそれぞれスパイになるまでの出来事も描かれています。
続編も改めて観てみたいと思います。シリーズ全体を観ることで、第1作目の印象もまた変わってくるかもしれません。

