Amazon Prime Videoでアニメーション映画『HELLO WORLD』を観ました。
本作は2019年公開の日本のアニメーション映画で、監督は伊藤智彦です。
Amazon Prime VideoのPrime会員向け配信に追加されていたので観てみたのですが、これがなかなかおもしろい作品でした。
ただし、最初から引き込まれたわけではありません。
序盤は正直なところ、あまりぱっとしない展開でした。青春アニメらしい甘酸っぱい恋愛描写が続き、SF作品を期待していた私としては、観る映画を間違えたかと思ったほどです。
ところが、主人公の前に10年後の自分が現れてから、少しずつ物語がおもしろくなっていきます。
そして終盤には、それまで理解していた世界の構造が何度も覆される展開が待っていました。
個人的な評価は75点(100点満点)です。
前半の展開には物足りなさを感じましたが、SFとしての設定やラストのどんでん返しが印象に残る映画でした。
※以下、物語の重要な展開に触れるネタバレがあります。ただし、最後のどんでん返しの核心は伏せています。
映画『HELLO WORLD』のあらすじ
物語の主人公は、京都に暮らす高校生の堅書直実です。
ある日、直実の前に10年後の自分だと名乗るカタガキナオミが現れます。
未来から来たナオミは、直実に同級生の一行瑠璃と恋人関係になるよう手助けをするとともに、将来起こる落雷事故から瑠璃を救ってほしいと頼みます。
そのためにナオミは、直実に「グッドデザイン」と呼ばれる特殊な能力を与え、使いこなすための訓練を始めます。
直実はナオミの助けを借りながら瑠璃との距離を縮め、やがて2人は恋人同士になります。
しかし、物語は単純なタイムリープものではありません。
直実が暮らしている世界には、大きな秘密が隠されていたのです。
『HELLO WORLD』を観た感想・考察【ネタバレあり】
前半は青春恋愛アニメの印象が強い
映画の序盤は、正直なところ少し退屈に感じました。
主人公の直実は内向的な高校生で、同級生の瑠璃との距離を少しずつ縮めていきます。
甘酸っぱい青春恋愛ものが好きな人であれば、この前半部分も楽しめると思います。
しかし、SFを期待して観始めた私には、なかなか物語が盛り上がらないように感じられました。
10年後のナオミが登場してからは、少しずつSFらしい設定が明らかになり、ようやく興味が湧いてきます。
タイムリープではなく記録世界だったという衝撃
最初は、10年後のナオミが過去に戻り、歴史を変えようとしている物語だと思っていました。
ところが、ナオミから衝撃的な事実が明かされます。
直実が暮らしている世界は現実ではなく、「アルタラ」というシステムに保存された過去の記録世界だというのです。
つまり、10年後のナオミが現実の人間で、直実たちは記録されたデータ上の存在ということになります。
この設定を知ったとき、ゲーム『ファイナルファンタジーX』に登場するザナルカンドの人々を思い出しました。
それまで普通のタイムリープ作品だと思って観ていたので、この展開には驚きました。
そして、ここで一つの疑問が生まれます。
記録された過去の世界を修正したところで、現実世界には何の影響もないのではないでしょうか。
歴史を変えることが目的なら、記録世界で起きた出来事を変更しても意味がないはずです。
実は、この疑問こそが物語の重要な伏線になっていました。
ナオミの本当の目的が明らかになる
10年後のナオミが直実に協力を求めたのには、別の目的がありました。
現実世界の瑠璃は、落雷事故によって命を落としたのではなく、意識を取り戻せない状態になっていたのです。
ナオミは瑠璃を救うために、アルタラに保存された瑠璃の人格記録を、現実世界の瑠璃の身体に移植しようと考えていました。
そのためには、記録世界の瑠璃と現実世界の瑠璃を完全に同期させる必要があります。
直実と瑠璃の関係を過去の出来事に沿って進め、事故直前の状況を再現しようとしていたのは、そのためでした。
ここでようやく、序盤から続いていた恋愛描写にも意味があったことがわかります。
単なる恋愛ものではなく、すべてがナオミの計画につながっていたのです。
狐面の修正プログラムが不気味
ナオミと直実が歴史を変えようとすると、アルタラの修正プログラムが動き始めます。
記録された歴史を本来の状態に戻そうとする存在で、狐面をつけた人形のような姿で登場します。
この修正プログラムが、なかなか不気味でした。
歴史を変更しようとする直実たちを容赦なく追い詰める姿には、ホラー映画のような怖さがあります。
特に物語の終盤では、修正プログラムの行動が激しくなり、世界そのものが崩壊していくような展開になります。
青春恋愛アニメだと思っていた作品が、いつの間にか本格的なSFアクションへと変わっていました。
現実だと思っていた世界も記録世界だった
ナオミの計画は成功し、瑠璃は意識を取り戻します。
ところが、ここで再び大きなどんでん返しが起こります。
現実世界だと思っていた10年後の世界にも、狐面の修正プログラムが現れるのです。
つまり、ナオミが現実だと思っていた世界もまた、記録世界だったということになります。
最初は直実の世界が記録世界だと明かされ、次にナオミの世界まで記録世界だったと判明します。
現実だと思っていた世界が二重に覆されるという、恐ろしい展開です。
ここから物語は一気に加速していきます。
2人のナオミと瑠璃をめぐる最後の戦い
一方、10年前の記録世界にいる直実も、瑠璃を取り戻すために行動を始めます。
アルタラによって自分たちの世界が消去されようとする中、直実は再びグッドデザインの力を使い、10年後の世界に移された瑠璃を救い出そうとします。
修正プログラムは激しく抵抗しますが、直実は何とか瑠璃を元の世界へ戻すことに成功します。
しかし、10年後の世界には直実とナオミという2人の同一人物が存在することになり、修正プログラムは2人を排除しようとします。
最後は10年後のナオミが直実の身代わりとなり、犠牲になります。
ここまででも十分に衝撃的な展開なのですが、この映画にはさらに最後の仕掛けが残されています。
ラストシーンのどんでん返しが最大の見どころ
直実と瑠璃は再会し、新しい世界で生きていくことになります。
瑠璃が元の世界に戻ったのかと尋ねると、直実は新しい世界なのだと答えます。
この場面で、映画のタイトルである『HELLO WORLD』の意味がつながったように感じました。
新しい世界の始まりを描いた物語だったのかと納得した、その直後です。
ラストのわずかな時間で、それまでの物語の意味が再び大きく変わります。
この最後のどんでん返しこそが、映画最大の見どころだと思います。
実は終盤で、少し気になる場面がありました。
ある人物の声を聞いて、「もしかして、この声は?」と思ったのです。
しかし、そこから最後の展開までは予想できませんでした。
結末には驚きましたが、個人的には嫌いではありません。むしろ、よかったと思っています。
ここはぜひ、自分の目で確かめてほしいところです。
『HELLO WORLD』は見返すとおもしろいSF映画
この映画は、一度観ただけでは理解しきれない部分もあると思います。
タイムリープものだと思っていたら記録世界の話になり、さらにその世界も記録世界だったという展開が続きます。
細かい描写にも伏線が隠されているため、もう一度観ることで新たな発見がありそうです。
また、10年後のカタガキナオミを中心に描いたスピンオフ作品『ANOTHER WORLD』もあります。
こちらを観ることで、本編の理解がさらに深まるようなので、機会があれば観てみたいと思いました。
一見すると青春恋愛アニメですが、実際にはかなり奥行きのあるSF作品です。
日本のアニメーション映画はやっぱりすごいなと感じました。
まとめ|映画『HELLO WORLD』の評価は75点
映画『HELLO WORLD』の個人的な評価は75点(100点満点、星3つ半)です。
最初はあまりおもしろくない映画かと思いましたが、10年後のナオミが登場してから少しずつSFとしての魅力が増し、終盤には何度も驚かされました。
特に印象的だったのは、現実だと思っていた世界が次々と覆される設定と、最後のどんでん返しです。
一度観ただけでは気づかない伏線も多く、見返すことでさらに理解が深まりそうな作品でした。
ただし、前半の青春恋愛を中心とした展開は、個人的には少し物足りなく感じました。
その点を考慮して、総合評価は75点としました。
前半は好みが分かれると思いますが、SFが好きな人には最後まで観てほしい作品です。

