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『HELLO WORLD』を観た感想。世界が2度覆る本格SF作品。

3.5
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映画
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映画『HELLO WORLD』を観た。
2019年に公開されたアニメーション映画で、伊藤智彦監督作品である。

Amazon Prime VideoのPrime会員対象に追加されたので観たのだが、これはなかなかいい。

最初は正直、ぱっとしない展開だった。うだうだとした青春アニメ感がすごかったのだ。SFを期待していたのに観るのを間違えたかと思ったくらいだ。

その後、10年後の僕が登場してから、じわじわと面白くなってくる。とはいえやっぱり盛り上がりに欠ける展開ではある。甘酸っぱい恋愛ものが好きであれば、前半部分も楽しめると思う。

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HELLO WORLDを観た感想(ネタバレあり)

『HELLO WORLD』のあらすじを読むとタイムリープがあるように読める。

主人公の堅書直実の前に10年後のカタガキナオミが登場する。まずここが1回目のタイムリープ。

10年後のカタガキナオミは堅書直実に一行瑠璃と恋人関係になることの手助けと、一行瑠璃を将来起きる落雷事故から救って欲しいというお願いをする。

そのためにグットデザインと呼ばれる10年後のテクノロジーを堅書直実に授け、訓練をする。それと同時に起こるべき出来事を教えることで、一行瑠璃と結ばれることを手助けするのだ。

このあたりからSF度が増してきて少しずつ設定の面白さが出てくる。カタガキナオミが現実の人間で、堅書直実はアルタラというハードウェアに記録されているデータだという衝撃発言がある。

FF10のザナルカンドの人々みたいな展開が起こるのだ。

そしてここが重要な伏線となっている。普通に見ていくと歴史の修正のお願いをされていると捉えてしまうようなストーリー展開となっているのだが、よくよく考えてみると記録世界を修正しても現実世界には何ら影響しないのではという疑問が湧いてくる。そうなのだ。それが目的ではないのだ。

このあたりからストーリーがぐっと面白くなってくる。カタガキナオミには別の目的があったのだ。

また記録世界をコントロールするオルタナも黙ってはいない。事故に合うはずの一行瑠璃を助けようとする堅書直実達の行動を阻止しようと記録(歴史)通りとなるようにする行動を開始するのだ。

歴史の変更を阻止する狐面の人形の修正プログラムが登場するシーンはなかなかホラー感がある。

そしてカタガキナオミの思惑が成功し、現実世界で目覚める一行瑠璃。実は一行瑠璃は落雷事故で死んだのではなく、植物状態となっていたのだ。そしてその状態から救い出すために、カタガキナオミはオルタナに保存されている一行瑠璃の人格記録を、植物状態の現実世界の一行瑠璃に移植することを画策していたのだ。

この計画を実行するために精神と肉体が100%シンクロする必要がある。そのために事故直前までを忠実に再現する必要があったというのだ。

カタガキナオミの計画が無事成功し、現実世界の一行瑠璃は意識を取り戻すことができる。

しかし、現実世界でも狐面の修正プログラムが登場する。そしてカタガキナオミが現実だと思っていた世界もまた記録世界であることに気づくのだ。いままで現実世界だと思っていたのが覆されるということが二重に起こるという、恐ろしい展開である。

一方で10年前の記録世界の堅書直実も黙ってはいない。オルタナによる修正により堅書直実の世界は消去されようとするが、再び得たグットデザインの力を借りて、10年後の記録世界に移植された一行瑠璃を救い出そうとする。

オルタナの修正プログラムは暴走に近いレベルで修正作業を実行しようとする。なんとか一行瑠璃を10年前の記録世界に戻すことに成功したものの、10年後の記録世界では堅書直実が2人存在しているため、その矛先は二人のナオミに向かう。

最後はカタガキナオミが堅書直実の身代わりとなり、命を落としてしまうのだが、ラスト1秒で世界が再びガラッと揺らぐ。ものすごいスピードで本当の結末が発覚するのだ。

ここが最大の見どころポイントなので自分の目で観ることをおすすめする。

一方で、堅書直実と一行瑠璃は無事10年前の記録世界で再会をする。10年後の世界ではオルタナを開発した千古教授がオルタナの修正プログラム機能を停止した。これにより無限に世界が生まれる、つまりはパラレルワールドが無限に増殖するということが可能になったというのだ。

2人が再開後に、一行瑠璃は「元の世界に戻ったの?」と問う。そこで堅書直実は「きっと新しい世界だ」と言う。これがタイトルのHello worldと掛かっているので、あーなるほどと思った矢先に、ラスト1秒で世界がひっくり返る。本当の黒幕が登場し、そして話が終わるのだ。

ラストシーンを観たときに、たしかに終盤であれっと思うところはあった。もしかしてこの声は?と思うシーンがあるのだ。

とはいえ、びっくりした。が、結末は嫌いではない。むしろ良かったと思っている。

まとめ(75点/100点)

タイムリープものかと思いきや、ひっくり返される。そんな骨太のSFモノである。

10年後のカタガキナオミを主人公にした『ANOTHER WORLD』という作品もあり、スピンオフ作品を観ると理解が深まる作品らしいのだ。

なかなか奥行きのある作品である。日本のアニメーション映画は侮れない。

また実は細かい描写に着目することで、気づく点も多いので見返すことで理解が深まる作品でもある。

最初はつまらない映画かと思ったが、なかなかにおもしろい作品だった。

とはいえ前半の持っていき方がいまいちだったので、総合評価は75点(星3つ半)である。

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