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映画『騙し絵の牙』を見た感想(ネタバレなし)。映画の途中であなたはきれいに騙される。

3.0
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映画
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大泉洋が好きだ。「水曜どうでしょう」の初期の頃からのファンなので、年を経るごとにいい味を出している姿を観るだけで楽しい気持ちになる。

映画「騙し絵の牙」はそんな俳優 大泉洋が主演の映画。

この映画は作家塩田武士氏が大泉洋をイメージして主人公をあてがきした小説『騙し絵の牙』が原作になっている。さらに吉田大八監督が、映画の主演を大泉洋とすることで、まさに大泉洋のための映画に仕上がっている。

大手出版社である薫風社を舞台に、次期社長をめぐる権力闘争が勃発。100年以上の歴史がある『小説薫風』を率いる宮藤和生常務(佐野史郎)と社内改革派の東松龍司専務(佐藤浩市)の対決かと思ってみていると、すっかりと騙される。それ以上の思惑と謀(はかりごと)が渦巻いている。

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人物相関図

登場人物は大きく分けて東松派、宮藤派に分かれる。東松派の雑誌『TRINITY』の編集長 速水輝、宮藤派の『小説薫風』編集長 江波百合子(木村佳乃)の対決が中心となる。

最初は東松派、宮藤派の対立というシンプルな図式だったのが、話が進展するにつれてどんどん人物の対立関係や思惑が複雑になってくる。

薫風舎の社内政治については最後のオチはある程度予想がつく展開ではあった。しかし、途中の展開は全く予想だにしていない展開だったので、とても驚いた。

あー、そういうことかと思った。

結末を知った上で、改めて映画を見返すと見える世界が一変する展開であった。そのため、2度観の楽しさが味わえると作品だと思った。

映画を見た感想

率直な感想を言うと、最後の最後に笑う人物は容易に予想がついた。この人が最後に笑うだろうと。

とはいえ、何度も騙された。いい意味で何度も裏切られた。おー、そういうことかと。

見どころはお荷物雑誌『TRINITY』の編集長 速水輝(大泉洋)の仕掛けの数々。仕事を成功させて、意気揚々と役員室に歩いていく姿がかっこいい。いち大泉洋ファンとしてはこんな大泉洋が見たかった。

それにしても大泉洋はスーツが似合う。と全く関係のない感想を持った。「水曜どうでしょう」の姿からは想像もつかない。

若手女優 松岡茉優が扮する高野恵のキャラクターもとてもいい。

真摯に仕事に打ち込む姿、そしてその執念にプロを感じる。新人編集者とあるが、本当だとしたらこれはすごい新人だ。新人には見えない。

高野恵の仕事を通して、1冊の本を出版することの大変さ、よりよい作品とするために編集者がペンを入れることの大切さを感じた。

よく本は多くの人が目を通しているので、情報の信頼度が高いと言われる。

映画を観て、その言葉の意味が実感できた。作家と編集者の双方向のやりとり、その後の校閲者によるチェック、何人ものプロが1冊の本に関わり、よりよいものにするために仕事をしていることがよくわかった。

この映画は出版業界を舞台にしているので、雑誌や本が好きという人は楽しめると思う。

雑誌の表紙を決めるシーンはとても感動をした。幾通りもの写真とフォント、そしてその組み合わせからこれだという表紙デザインを決める。その途方も無い作業。

そして決まった表紙が印刷機で大量に印刷されているシーンはじーんとくるものがあった。なぜかはわからないけども。

この映画にはもう一つ大事なテーマがある。Amazonという黒船到来によりネットで本が買える時代に、町の小さな書店の提供価値とは何か。リアル店舗であることの存在意義は何か。という問いだ。

映画の中程で、この問いに対する答えのヒントとなるシーンが出てくる。そのさり気なさが、実に観ていて心地いい塩梅である。わざとらしくない。こういう何気ない一言からヒントを得るものだと思う。

まとめ(70点 / 100点)

本作品を映画館で鑑賞した上での評価は70点(星3つ)。

大泉洋ファンはぜひ劇場に足を運ぶべきだと思う。俳優 大泉洋を応援しよう。そうでない方にとっても、シアターの大画面でこの複雑なストーリーを見事にまとめた作品に見入るのはおすすめだ。

そして若手女優 松岡茉優の演技がいい。脇を固める俳優陣も名優が揃っている。冒頭のニュース番組のようなシーンは若干白けたが、2度目以降のニュース番組シーンは話が盛り上がってくる。そして話が盛り上がるときの音楽がまたいい。こう、テンションが上がる音楽なのだ。

映画を観た結果、原作をとても読みたくなったので絶対に読もうと思う。原作を読んでから映画をまた見るというのが今から楽しみだ。

騙し絵の牙

塩田 武士/大泉 洋 KADOKAWA 2017年08月31日頃
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