歌舞伎を全国の映画館で楽しめるのがシネマ歌舞伎。
歌舞伎って観てみたいけど、料金も高いし、なかなか一歩を踏み出せないという人も多いのでは?私自身が歌舞伎って興味があるけど、一歩踏み出せないひとりです。
そもそも料金が高いのに全く楽しめなかったらどうしようという不安がすごい。
そんな歌舞伎初心者が、2021年6月4日公開の新作シネマ歌舞伎「鰯売恋曳網(いわしうりこいのひきあみ)」を映画館で観てきた。
鰯売恋曳網とは
鰯売恋曳網は、小説家の三島由紀夫作の歌舞伎演目。
三島由紀夫は生涯に6本の劇作を執筆している。鰯売恋曳網は三島歌舞伎の中で唯一のハッピーエンドで終わる恋の物語。
初演は1954年(昭和29年)に歌舞伎座で、十七代目中村勘三郎と六代目中村歌右衛門によって演じられ、人気を博した作品である。
シネマ歌舞伎「鰯売恋曳網」は、2009年1月(平成21年)のさよなら歌舞伎座で演じた時の映像をスクリーンで鑑賞することができる。
冒頭ではシネマ歌舞伎だけの特別映像として蛍火(ほたるび)を演じた坂東玉三郎氏が、三島歌舞伎としての本作の特徴や猿源氏(さるげんじ)を演じた故中村勘三郎との想い出を語っている。
鰯売恋曳網のあらすじ
鰯賣の猿源氏は五條橋で見かけた傾城蛍火に一目惚れ。恋の病にかかり自慢の売り声にも力が入りません。そこで猿源氏の父・海老名なあみだぶつは猿源氏を大名に仕立てて蛍火のいる揚屋へ向かうことを提案します。
引用元:https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/45/
恋焦がれる蛍火を目の前に夢見心地で盃を交わす猿源氏でしたが、酔いつぶれて蛍火の膝の上で寝入ってしまいます。そして、寝言で「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯買うえい」と自慢の売り声を上げてしまい、それを聞いた蛍火は猿源氏の正体を問い詰めますが…。
鰯売の猿源氏と都一美しい遊女蛍火との恋の物語。蛍火と遊べるのは大名高家のみであるため、猿源氏は猿源氏の父 海老名なみあぶだぶつの案により、上洛のうわさがある大名に扮して座敷を訪れる。
正体は鰯売のためどうも大名に化けきれていない様が大変可笑しい。遊女から戦のエピソードを、と言われたときも語るのは魚の話ばかり。
憧れの人である蛍火とともに楽しい時間は過ぎ、すっかり酔って寝入ってしまった猿源氏。気を利かせて周りの者は席を外す。
猿源氏は寝言で「阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯かうえい」と自慢の売り声を上げる。
その声を聞いた蛍火が問い詰めるが、猿源氏は殿様であると言い張る。なぜか猿源氏が鰯売でないと言ったことで蛍火は涙する。その涙の理由は何なのか。
鰯売恋曳網の配役
鰯売 猿源氏:中村勘三郎
傾城蛍火:坂東玉三郎
*実は丹鶴城の姫
博郎六郎左衛門:松本幸四郎
庭男:片岡亀蔵
*実は藪熊次郎太
海老名なみあぶだぶつ:坂東繭十郎
亭主:中村東蔵
鑑賞料金
鑑賞料金は、以下の通り。
通常料金 一般:2,200円
学生・小人:1,500円
e+(イープラス)、セブンチケットでの特別鑑賞券:1,900円
鰯売恋曳網を観た感想
歌舞伎の台詞が理解出来なかったらどうしようと思って不安に思っていたものの、台詞は現代語が中心だったので、話の筋は問題なく追うことができた。
ところどころわからないセリフがあった程度で、意外に歌舞伎って初心者でも楽しめると思った。
物語の中で実は蛍火は丹鶴城の姫であることが分かる。丹鶴城は和歌山県新宮市にある城だ。和歌山県出身の私は物語の愛着が増して、より面白く感じた。
劇作自体は笑劇として書かれたものであるため、とにかく笑ってしまうシーンが多い。結構、声に出して笑ってしまった。歌舞伎っておもしろいぞ、と思ったのだ。
まとめ
歌舞伎初心者がシネマ歌舞伎「鰯売恋曳網」を観たら、とにかく笑っておもしろかった。
歌舞伎は初心者でも楽しめる、というのが発見だった。歌舞伎に興味があるのであれば、まずは歌舞伎を見てほしいという言葉の意味がよくわかった。
社会人をしつつも通信制大学(芸術学部)の学生でもあるので、学割料金で鑑賞出来たのもよかった。
シネマ歌舞伎はおすすめなので、他の作品も観ていこうと思う。
それでは。